治療する
治療目標
治療開始のタイミング
治療のリスクとベネフィット
肺MAC症治療開始における
リスク-ベネフィット
中川拓, 小川賢二. 呼吸器ジャーナル. 2018; 66(4): 608-615. より改変
治療開始時期の考え方
無治療経過観察の場合
肺MAC症の標準治療
肺MAC症の治療
肺MAC症の治療
病 型 | 治療レジメン | |
●空洞のない結節・気管支拡張型(重症は除く) | A法かB法のいずれかを用いる |
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A法:連日投与 CAM 800mg or AZM 250mg EB 10~15mg/kg(750mgまで) *RFP 10mg/kg(600mgまで) |
B法:週3日投与 CAM 1000mg or AZM 500mg EB 20~25mg/kg(1000mgまで) *RFP (600mg) |
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●線維空洞型 ●空洞のある結節・気管支拡張型 ●重度の結節・気管支拡張型 |
A法+治療初期(3~6ヵ月)に以下を併用する ●SM 15mg/kg以下(1000mgまで)週2~3回筋注 あるいは
●AMK 15mg/kg連日 or 15~25mg/kg週3回点滴、TDMで調節 必要に応じて外科治療の併用を検討 |
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●難治例(多剤併用療法を6ヵ月以上実施しても細菌学的効果が不十分な患者) |
A法に以下のいずれかを併用する ●ALIS 590mg/日吸入 あるいは ●SM15mg/kg以下(1000mgまで)週2~3回筋注 あるいは
●AMK 15mg/kg連日 or 15~25mg/kg週3回点滴、TDMで調節 必要に応じて外科治療の併用を検討 |
* RFP忍容性の低い症例、薬剤相互作用を懸念する症例ではRFPを減量、さらに除くことも検討する(付記のRFPの項を参照)。RFPを除いた場合にはCAMの血中濃度が低下しないので、低体重の患者ではCAMの減量(400~600mg)を考慮する。AZMを使用する場合には用量調節は必要ない。週3回投与では、基本的に3剤併用が望ましいが、忍容性が低いと判断した場合には、 RFPの減量(300mg~450mg)を考慮する。
CAM:クラリスロマイシン、AZM:アジスロマイシン、 EB:エタンブトール、RFP:リファンピシン、SM:ストレプトマイシン、
AMK:注射用アミカシン、TDM:Therapeutic Drug Monitoring、ALIS:アミカシンリポソーム吸入用懸濁液
日本結核・非結核性抗酸菌症学会 非結核性抗酸菌症対策委員会, 日本呼吸器学会 感染症・結核学術部会. 結核. 2023; 98(5): 1-11.
副作用への対策
治療上の注意
マクロライド耐性化の抑止と
マクロライド耐性への対応
「成人肺非結核性抗酸菌症化学療法に
関する見解ー2023年改訂ー」
マクロライド耐性に関する記載
マクロライド 耐性化の抑止 |
キードラッグであるマクロライド(CAMあるいはAZM)の耐性化を抑止することが重要であり、マクロライド単剤治療、マクロライドとキノロンやRFPなどEBを含まないレジメンでの治療を避ける。 |
マクロライド 耐性の場合 |
EB、RFPあるいはRBTにアミノグリコシド(AMK点滴、SM筋注、難治例であればALIS)を併用する。CFZやシタフロキサシン(STFX)の使用も考慮されるが保険適用はない。 |
CAM:クラリスロマイシン、AZM:アジスロマイシン、RFP:リファンピシン、EB:エタンブトール、RBT:リファブチン、
AMK:注射用アミカシン、SM:ストレプトマイシン、ALIS:アミカシンリポソーム吸入用懸濁液、CFZ:クロファジミン
日本結核・非結核性抗酸菌症学会 非結核性抗酸菌症対策委員会, 日本呼吸器学会 感染症・結核学術部会. 結核. 2023; 98(5): 1-11.
マクロライド耐性例の治療アウトカム
マクロライド耐性肺MAC症患者の
治療アウトカム(海外データ)
対象・方法:2002〜2014年にソウルの大規模総合病院でマクロライド耐性肺MAC症と診断された34例の診療記録を後ろ向きに調査し、臨床的特性や治療アウトカムを評価した。
Moon SM,
et al. Antimicrob Agents Chemother. 2016; 60(11): 6758-6765. より作成
治療効果の評価
治療開始後6ヵ月以上経過しても
菌陰性化しない場合のチェック項目
治療薬の投与量は適切か
服薬コンプライアンスに問題がないか
クラリスロマイシン耐性化していないか
中川拓, 小川賢二. 呼吸器ジャーナル. 2018; 66(4): 608-615. より作成
治療期間
経過観察
コンサルテーションのタイミング
REFERENCES